「…っ、むく、なに、」
「……」
「お、っ前、何考えて、」
幻術で現れた蔦に両腕を頭の上で戒められ、身を捩るしか術は無かった。
綱吉からは藍色の髪の毛の所為で骸の顔を見る事が叶わない。
不安と恐怖が綯い交ぜになり、綱吉は全身をガクガクと震わせた。その間も、長い指が胸や腹をなぞる様に動いている。
「やめろ、骸、頼む、から」
「…ここが主張してきていますよ」
ギュとペニスを握られ、綱吉は喉の奥で悲鳴を上げた。
他人に触れられたのは初めてだった。
その衝撃で、既に自分が弱々しく喘いでいた事に漸く気づく。
「…っ!」
「僕が今からしようとしている事、もう解りましたよね?」
骸はそこを握ったまま、綱吉と鼻先が触れそうな程近くで笑顔を見せた。その笑顔は口元が歪み、色違いの目は昏く、けれども熱を孕んでいる。
殴られた様なショックを受け、綱吉は両目を見開き、唇を戦慄かせた。
暴れて抵抗するという選択肢さえ思いつかない。
そんな様子には構いもせず、骸の指は丁寧に綱吉の先端を撫でている。
「いい顔を、してますよ」
うっとりと、綱吉の頬を舐める。
「…ほら、もうこんなに濡れてます」
己の指先を綱吉の眼前に晒し、骸はクフと笑いを零した。
ぬらりと光っているそれを見て、綱吉はただ顔を逸らす。全身の震えは止まらず、少しも力が入らない。
その隙を狙ってか、骸は指を後ろの蕾に侵入させた。
「!、…む、むく、ろ?」
信じられないものを見る様に、綱吉は整った顔に瞳を向けた。
「解すんですよ。じゃないと、君が辛い。僕は、優しいらしいですから?」
困った表情を作り、綱吉に向かって首を傾げてみせる。
「…じ、冗談、はもう、」
「冗談で済ます気はありません。初めてが外とは、君にはちょっと刺激が強いでしょうが、」
指を増やし、後ろを抉りながら骸は微笑んだ。
「周りからは見えていない。…君の痴態を、見せるものか」
呟いた瞳は、燃え盛る赤と、海の底の様な蒼だった。
ズボンの前を寛げ、骸は綱吉の腿を割り開き抱え上げる。
「…く、ああっ!」
指とは比べ物にならない体積が、綱吉の蕾にみしみしと侵入してくる。
「ああっ!あ、あ、」
「息を吐いて、…綱吉、君」
「…ふ、あ、あ、あーっ!!」
奥まで一気に突かれた。
凄まじい痛みに、綱吉の瞳から、ぼろぼろと涙が溢れてくる。
背中を壁に預け、両足を肩に担がれ、身体が揺れていた。
衣服は無惨にも、殆ど剥ぎ取られている。
男に犯されているという事実。
けれど、綱吉は心の底から、それを恨み、抗う事が出来ないでいた。
それは、その行為をもたらしているのが、他の誰でも無い、骸だからだ。
それは何を意味する?
「…くっ、狭い、ですね」
「あっ、あ、あ、」
「綱吉君、僕、を感じてます、か?」
律動は激しさを増し、綱吉には喘ぐ事しか出来ない。
「ずっと、こうしてい、たい」
「む、むくっ、あっ、あ!もう、」
「…イき、ます」
「ぅ、ああああーっ!!」
綱吉は内に骸の迸りを感じながら、自分も達していた。
目の前が真っ白に破裂し、意識が薄らいでゆきながらも、綱吉は、骸の切なげな顔を見た気がした。
長くなったので一度ここで切ります;;